夏野菜で稼ぐ|トマト・キュウリ・ナス・ピーマンの収益比較
著者: 田んぼ電卓編集部
はじめに
夏野菜は新規就農者に人気の作物カテゴリです。中でもトマト、キュウリ、ナス、ピーマンは栽培技術の情報が豊富で、販路も安定しているため、就農初心者にも始めやすい作物です。
しかし、「どれが一番儲かるのか?」は気になるポイント。この記事では、4つの夏野菜の収益性を数字で比較してみます。
4作物の基本データ比較
10a(1反)あたりの全国平均データです。
| 項目 | トマト | キュウリ | ナス | ピーマン |
|---|---|---|---|---|
| 収量(kg/10a) | 6,200 | 5,800 | 4,200 | 5,500 |
| 単価(円/kg) | 400 | 300 | 350 | 300 |
| 売上(万円/10a) | 248 | 174 | 147 | 165 |
| 経費(万円/10a) | 120 | 70 | 75 | 70 |
| 所得(万円/10a) | 128 | 104 | 72 | 95 |
注: データは農林水産省の統計に基づく概算値です。実際の数値は地域・品種・栽培方法により変動します。
収益性の分析
トマト:高収益だが初期投資も大きい
トマトは10aあたりの所得が約128万円と、4作物の中で最も高いです。
メリット:
- 単価が高い(400円/kg)
- 需要が安定している
- ミニトマト、大玉など品種の選択肢が豊富
- 施設栽培なら周年出荷も可能
注意点:
- ビニールハウスが必要(初期投資500〜1,500万円/10a)
- 病害虫管理の技術が求められる
- 暖房費がかかる(冬期栽培の場合)
キュウリ:回転が早く、初心者向き
キュウリは収穫開始が早く、短期間で現金化できるのが特徴です。
メリット:
- 播種から収穫まで約60日と短い
- 露地栽培でも始められる
- 夏場の需要が高い
注意点:
- 単価がやや低い(250円/kg)
- 日持ちしないため、出荷タイミングがシビア
- 連作障害に注意が必要
ナス:安定収穫で長期出荷が可能
ナスは収穫期間が長く、安定した出荷ができる作物です。
メリット:
- 収穫期間が長い(6〜10月)
- 栽培管理が比較的シンプル
- 漬物・加工用など用途が広い
注意点:
- 収量・単価ともにトマトには及ばない
- 重量作物のため収穫作業の負担が大きい
ピーマン:管理が容易で新規就農向き
ピーマンは栽培管理が比較的シンプルで、新規就農支援で推奨されることの多い作物です。
メリット:
- 栽培管理が比較的容易で未経験者でも始めやすい
- 収穫期間が長い(6〜11月)
- 高知・宮崎など産地での研修制度が充実
- カラーピーマンへのステップアップで単価2〜3倍も可能
注意点:
- 単価はトマトに比べてやや低い(300円/kg)
- カメムシ等の害虫被害で品質が低下しやすい
- 施設栽培のため暖房費がかかる(冬期栽培の場合)
面積あたりの所得比較
「5反(50a)を耕作した場合」の年間所得を試算してみます。
| 作物 | 5反あたり年間所得 | 月収換算 |
|---|---|---|
| トマト | 約640万円 | 約53万円 |
| ピーマン | 約475万円 | 約40万円 |
| キュウリ | 約520万円 | 約43万円 |
| ナス | 約360万円 | 約30万円 |
トマトが最も高収益ですが、施設栽培の初期投資(2,500万円〜)を考えると、投資回収には3〜5年かかる計算です。
ピーマンは栽培管理のしやすさと収益のバランスが良いのが特徴で、施設園芸の入門作物として新規就農支援でも推奨されています。
キュウリやナスも含め、施設栽培の初期投資と収益性のバランスを考えて選びましょう。
複合栽培という選択肢
一つの作物に絞るのではなく、複数の夏野菜を組み合わせる「複合栽培」も有力な選択肢です。
例: トマト3反 + キュウリ2反の場合
- トマト所得: 約444万円
- キュウリ所得: 約130万円
- 合計: 約574万円(月収48万円)
収穫時期をずらすことで労働の分散ができ、一つの作物が不作でも他でカバーできるリスク分散効果もあります。
田んぼ電卓の複合作物シミュレーションでは、複数の作物を組み合わせた収支を簡単に試算できます。
あなたに合った夏野菜は?
作物選びは収益性だけでなく、以下の要素も考慮しましょう:
- 利用できる資金: 施設園芸の投資余力があるか
- 栽培経験: 技術的な難易度に対応できるか
- 労働力: 家族経営か、雇用を予定しているか
- 販路: JAか直売か、ターゲットとなる市場はどこか
- 地域の適性: 気候や土壌が作物に合っているか
「何を作るべきか迷っている」という方は、田んぼ電卓の作物診断クイズで、あなたの条件に合った作物を見つけてみてください。
作物別の詳しいガイド
各作物の詳細な経営ガイドも参考にしてください。
- トマト農家の年収・始め方
- ピーマン農家の年収・始め方
- いちご農家の年収・始め方(施設園芸の高収益作物)
※収量・単価データは農林水産省の統計に基づく全国平均の概算値です。実際の収益は地域、品種、栽培技術、天候等により大きく変動します。